“その男”について

Blackadderのウイスキーとは、全てロビン・トゥチェックが直接精選するものであるが、当社のウイスキーに対する“哲学”を十分に理解して頂くには自分のプロファイルを知って頂く必要もまたあるのかもしれない。
以前、ロンドンにあるDrinks International社で勤めていたのだが、1982年にスコットランドに行く機会があり、その時にスペイサイドのグレングラント蒸留所を訪れることとなった(自身にとっては、初めて訪れたウイスキー蒸留所である)。グレングラントというウイスキーはそれまでにも何度も飲んだことがあったのだが、その時に飲んだウイスキーが非常に印象的だった、樽から直接注がれたものだったのである。いわば初めて、「ボトリングされたものと、樽から直接出されたものとは違うのだ」という認識をしたわけである!
その後、ヘッドハンティングされPR業界に転じ、また自身でもワインやウイスキーに特化したPR会社を経営することとなるのだが、得意先の中にはタムナヴーリンの様なモルト・ウイスキーの会社もあったこともあり、1985年頃にはモルト・ウイスキーに強烈に興味を引き付けられる様になっていた。こうしたこともあり、ケント州タンブリッジウェルズに“マスター・オブ・モルト”というウイスキーショップを開店するとともに、1989年にはそれまでに2年間費やして編集していた「ザ・モルト・ファイル(The
Malt File)」という書籍を、テイスティングノートの部分はジョン・ラモンド氏に委ね、刊行したのである。1995年に「ザ・モルト・ウイスキー・ファイル(The Malt Whisky File)」と改題し、第四版第二刷まで版を重ねるとともに、累計発行部数は全世界で20万部以上にまで至っている。
その年、1995年は自身にとっては新たなスタートの年となった。1月にウイスキーショップ“マスター・オブ・モルト”を閉め、4月にインデペンデント・ボトラーとして当社の事業を開始したのである。その際に
設定した“ボトリングを行う上での基本方針”、つまりは「シングルカスク、無冷却濾過、無着色」という当社のボトリング上の特性が全世界のウイスキー愛好家の方々からこれまで支持を頂いてきたことこそが、現在まで当社が事業を継続してこられた大きな要因の一つであるものと深く認識しているのである。
※当該ページを作成するにあたっては、THE WHISKY WORLD2009年5月号(潟vラネットジアース刊)に掲載されたインタビュー記事を参考にさせて頂きました。