The pure spirit of Legend
Amrut
”インディアン”・シングル・モルト・ウイスキー
 インドの神話(乳海撹拌によれば、神々とラクシャサ(羅刹(らせつ))という鬼神たちが、メール山
(曼荼羅山)を用いて大海を激しく撹き回したところ、黄金の壺が現れ、中には不老不死の液体が入っていたという。その液体はアムリタ(阿密哩多)、すなわちAmrut(アムルット)と呼ばれた。インド初のシングル・モルト・ウイスキーは、この神話にちなんで名付けられたのだ。

 アムルットとは、世界標準に見合ったウイスキーづくりを長年に渡り探求した末に製品化されたシングル・モルト・ウイスキーなのである。原料となる大麦は、ヒマラヤ山脈に連なる丘陵地帯で、流れる河川に育まれつつ、古くから続く伝統的農法で耕作されたものの中から選び抜かれている。糖化は慎重に行われ、本来のアロマを維持するために小規模なバッチで蒸留された後にオーク・バレルで熟成される。”インドの田園都市”と称されるバンガロールにあり、付近はユニークなことに熱帯、標高は海抜3、000フィートある。

 このオーク熟成の”インディアン”・モルト・ウイスキーの本来の”持ち味”を留め置くために、アムルットではモルト・ウイスキーには冷却濾過を行わない。何世紀もの間変化のない農法で注意深く愛情を込め原料のインド大麦を育てる身分の低い農夫にはじまり、スピリットの蒸留や熟成、ボトリング工程においても”機械化よりもむしろ人力”にという会社のポリシーに至るまで、実のところ、アムルットにはその全てにおいて人間や伝統といったものの重要性がうつし出されているのである。

 ピーテッド・モルト・ウイスキーに関していえば、現在のところインドでは生産できないので、アムルット社ではスコットランド産のピート焚きした麦芽を使用している。一方、同社にはバンガロールの自社蒸留所にフロア・モルティングを導入する計画がある。また同社は、いつかは自社で大麦麦芽を自社でピート焚きして生産できるようにしたいとも考えている。

 アムルット社がヨーロッパのシングル・モルト市場に進出してからまもなく、同社とブラックアダーとの連携が始まり、それが今日まで続いている。我々は、初めてテイスティングしたアムルットのウイスキーのクオリティに感銘を受けたのだ。そのウイスキーは、フィルターをかけられたアルコール度数40%のシングル・モルトとしてアムルット社でボトリングされた自社製品だった。引き続き、我々は蒸留所にふさわしいカスク・ストレングスのサンプルの説明を伺ったりテイスティングをしたのだが、我々はただ単純に驚いたのであった!

 現在までブラックアダーはアムルット社とは遠からずお付き合いをしてきたが、一方でアムルット社は、この素晴らしいシングル・モルト・ウイスキーをシングル・カスクでボトリングした品目により現在の同社の品揃えを整えるまでに至ったのである。ブラックアダーではボトリングを独自に行っているが、最初に4年以上インドで熟成し、後にスコットランドに運び込まれ更に我々の熟成庫でオーク樽熟成を行った上で、シングル・カスクとしてそれぞれのボトリングを行うのである。

 ブラックアダーではこれまで、ボトリングの際に、冷却濾過または他の方法を用いてヘビィなフィルトレーションを行ってウイスキーをボトリングしたことなど1品たりともない、そしてまた着色したことさえ1品といえどもない。当然のことだが、我々がアムルットのボトリングを行う際にはすべて、このポリシーは引き継がれている。ここに付け加えることに喜びを感じるのだが、そのうちの1品が2008年にモルト・マニアックス(The Malt Maniacs)の”デイリー・ドラム・アワード(Daily Dram Award)”を勝ち取ったのだ。ウイスキー業界いたるところから200以上もの出品があった中で、他の品々をしのいでこのような誰でも欲しがるような栄誉を勝ち取ったなんて、これにまさる名誉はあり得ない。しかもテイステイングは、モルト・マニアックスの”国に関係なく組織されたテイステング・パネル”により、すべてブラインドで行われたのである!
                          2009年10月 ロビン・トゥチェック Blackadder
                          
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