BLACKADDER

当社の"ウイスキー哲学"

 蒸留所のオーナーによりボトリングされるモルト・ウイスキーのほとんどは、いくつかの異なるカスクをマリッジしたものである。となれば、ヴァッティングするカスクの数は多くなり、ボトリングの前にはチル・フィルトレーションが施され、また加えられる量こそまちまちだが、カラメルで着色されることも多々ある。たとえチル・フィルトレーションではないにせよ、一般的にはブライト・フィルトレーションは行われる。

 「ボトリングされる前にスピリッツを凝固点、もしくはそれ以下まで冷却する」、すなわちチル・フィルトレーションとは”美容的”な見地から行われる。つまりは、”濁り”が発生するいかなる可能性をも取り去るのである。残念ながら、元来ウイスキーに備わっている脂肪分、油分、及びフレーヴァーの多くもまた取り去られてしまう。然るに、個々のウイスキーに備わっている”特有のキャラクター”の多くが取り除かれてしまうことになる。というのも、エステル分とは、ここではフレーヴァーと置き換えても良いが、スピリッツの液中では脂肪分の周りに集まりやすいからである。それゆえ、ウイスキーをフィルトレーションするにあたり冷却すればするほど、取り除かれる脂肪分やエステル分の割合が大きくなる。更には、カラメルには特有のフレーヴァーがあり、これがウイスキーのフレーヴァーに加わってしまうのである。実のところ、大多数のモルト・ウイスキーはこの様にあしらわれているのだ。同様にブライト・フィルトレーションによっても、ボトリング時にカスクの2%から3%位の量が減じられるとともに、こうした脂肪分やエステル分の多大部分が取り除かれてしまうのだ。

 しかし、こうしたウイスキーとは、カスクから取り出した”ありのままのスピリッツ”とは異なるものなのだが、ラベルからはこの事を読み取ることなどできないものである。他の事については知り得るが、こんな大切なことを読み知ることなど決してでき得ない。購入するときにウイスキーの色がわからないように、有色瓶で販売されることさえもあり得る(想像してみてくれ、有色瓶に入ったファインワインを買うなんてことを!)。住んでいる国に法令がある場合に限っては、”この瓶入りの高価なモルト・ウイスキーはカラメル添加により着色され変質されている”といった大切な情報がラベルには付け加えられるものだが。

 当社ブラックアダー(Blackadder)のシングル・カスク・ウイスキー は、ボトリングする際に量は減ぜられるもののその程度は通常1%以下である、またブラックアダー・ロウ・カスク(Blackadder RAW CASK)の場合には0.5%以下である。ブラックアダーは、”全くのありのまま”でウイスキーのみをボトリングすることこそが価値あると信ずる、よって、幾世期にも渡って受け継がれた”まずは愛情をこめて蒸留が行われ、後に静かに樽の中で熟成するのに費やされる年月に応じてじっくりと歳を重ねる”という古くからの伝統を温存し続ける。ブラックアダーとは、書籍『ザ・モルト・ウイスキー・ファイル(The Malt Whisky File)』(これまでの印刷部数は、20万部以上)をジョン・ラモンド(John Lamond)と共に著した人物、ロビン・トゥチェック(Robin Tucek)である。ブラックアダー社のウイスキーとは、全て彼が直接精選するものなのである。

 それ故に、ブラックアダー社が挑んでいることとは、出来得る限り”ありのまま”の状態で、個々のカスクを精選しそれぞれボトリングすることなのである。これを全うするために当社では、樽の小片を全て取り除くための軽めのフィルトレーションしか行わない、さもなければボトルに入り込んでしまう可能性がある。しかしながら、ブラックアダー・ロウ・カスク・ウイスキーには全くフィルトレーションを行わない。ブラックアダー社のウイスキーは全て、シングル・カスクをボトリングしたものである。ブラックアダー・インターナショナル社(Blackadder International)が有するブランド群、すなわちアバディーン・ディスティラーズ(ABERDEEN DISTILLERS)、クライスデール・オリジナル(CLYDESDALE ORIGINAL)、カレドニアン・コネクションズ(CALEDONIAN CONNECTIONS)といったレーベルのウイスキーについてもまた同様である。カスクにはそれぞれ個性がある、従って極めて手間がかかるが個性のあるウイスキーを多様に選び集めることにより、顧客はその中から自由に選ぶことが可能になるのだ。

 カスクは、タイプやエイジからみて一番よいと思われるサンプルの中からそれぞれ選ぶ。ウイスキーに関していえば、2つのカスクが全く同じなんてことは決してない。というのも、製造されるスピリッツの最終的なあり様が使用される樽材の種類や貯蔵される状況の双方により左右されるためである。それゆえ、ブラックアダーのウイスキーは非常に幅広いものとなっている、よって”たぐいまれなものを味わう”ことが様々に体験できるようになっている。

 当社のウイスキーの外観は、特定の気温状況下においては濁りや沈殿を発生させ得る懸濁した脂肪分をフィルターで取り除くことがないために、僅かに濁っていたり或いはミルキーである可能性がある。当社がボトリング時に加えるのは、ピュアなスコティッシュ・ウオーターのみである。当社が基準としているボトリング時のアルコール度数は43−45度であるが、加水による希釈を全くすることなくボトリングするカスク・ストレングス・ウイスキーのセレクションもまた同様に世に問うている。

 こうした並はずれた素晴らしいシングル・モルト・ウイスキーの全てについてあてはまることだが、その”快楽”を高めるには御自身で水を少量加えられることをお勧めする。すると、お手持ちのグラスから複雑なフレーヴァーが多く放たれることとなる。良質のボトルド・ウオーター或いは水道水であれば何を用いてもよい。但しスパークリング・ウオーターや或いはミネラル・ウオーター、そして強く塩素で殺菌処理された水道水でなければだが。氷は加えるべきではない、理由はスピリッツが冷やされ、本来備わっているフレーヴァーが放出されることが減ずるためである。


                                         RAW CASK
                                                                                                             
ブラックアダー・ロウ・カスク(Blackadder RAW CASK)とは、ウイスキーというものの”かつての姿”なのだ。元来のウイスキーの姿なのである。その一滴一滴が「古典的なウイスキー」なのである。2000年秋にロンドンのヒースロー空港とガトウイック空港の”World of Whiskies”を通じて世界に先がけて新発売したことが成功を収めたのを受けて、現在では世界の多くのマーケットで入手可能となっている。

 ブラックアダー社はチル・フィルトレーションやカラーリングの価値を認めていない。当社が確信しているのは”純粋であればあるほどよい”ということだ。簡単に言えば、ブラックアダー・ロウ・カスクとはまさにブラックアダー社のウイスキーなのであり、否やそれにもまして当社のウイスキーとしてふさわしいということになる。当社は特別なボトリング工程を設け、さもなければカスク・ストレングスのウイスキーをカスクから直接瓶詰めする際にはカスク内に残ってしまうかもしれない沈殿物をも、元来備わっている油分や脂肪分と同様に、ブラックアダー・ロウ・カスクのそれぞれのボトルにすべて均等に包含するように念を入れている。こうして、それぞれのボトルにはすべて、可能な限り最大限に”ありのままのフレーヴァー”が存在することとなるのだ。

 ボトリング時に当社が唯一つしていることは小さなフィルターを用いることであり、こうしてカスク内の木片がボトルに偶然にも入り込まないようにしている。当社では、こうしたものは避けた方がよいものだと考えている。したがってブラックアダー・ロウ・カスクとは、多くの場合にはバーの背後に置かれた小さなバレルから売られていた当時に常に飲まれていた様なシングル・モルト・ウイスキーなのである。

ブラックアダー・ロウ・カスクは”ハイ・ストレングス・カスク・ウイスキー”であるので、当社では同じ分量の水で”割る(cuttinng)”することをお勧めする。しかし、加水することは、今に始まったことではないが、”個人の嗜好”によることなので、加える水の量はそれぞれの”好み”に応じて頂いて結構なのである。

しかしながら留意されるべきは、ありのままのフィルターを掛けていないウイスキーに加水すれば、脂肪分よりエステル分、つまりはフレーヴァーが開き放たれるよう促せるものだということである。とりわけカスク・ストレングス・ウイスキーに関してはそういうものであり、1杯のブラックアダー・ロウ・カスクの中の一連の複雑なフレーヴァーを出来得る限り存分に享受することが可能となるのである。



















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